ボツリヌス菌が生み出す自然界で1番強い神経毒と言われている、ボツリヌス毒素を利用した「ボツリヌス療法」を知ってますか?

この療法は、強力なボツリヌス毒素の作用を上手く利用し、人に役立てています。

この記事では、そんなボツリヌス療法について解説していきます。

ボツリヌス毒素を利用したボツリヌス療法とは?

ボツリヌス療法は、ボツリヌス毒素を筋肉に注射して、注射した箇所の筋肉を麻痺させ、筋肉を弛緩させる療法です。

この療法は、注射するボツリヌス毒素の量を変化させることで、筋肉を弛緩させる具合をコントロールすることができるメリットと、ボツリヌス菌自体を注射する訳では無いので、ボツリヌス毒素による副作用の心配が少ないという2つのメリットがあります。ちなみに、美容クリニックなどで行われるボトックス注射の効果(ハリをと戻し、やシワをなくす)は、このボツリヌス菌から抽出したものです。

ボツリヌス療法は、どのような場面で利用されているの?

ボツリヌス療法は、脳卒中による後遺症や事故による頭部外傷や脊椎損傷によって起こる運動障害「痙縮」の治療に使われます。

痙縮とは、筋肉が常に力が加わった状態になる症状で、例えば、手が握ったままになり開くことが難しくなったり、意識せずとも自然と肘が曲がってしまったり、手や足の筋肉に変に力が加ることで、手足を動かすことが困難になる、といった症状が起こります。

また、長期間に渡って痙縮の症状が続くと、痙縮によって筋肉が固まり、固まった筋肉周辺部を上手く動かすことができなくなります。

このような痙縮の症状を起こしている筋肉にボツリヌス毒素を注射することで、筋肉を弛緩させ痙縮による症状を緩和させることができます。

美容また、ボツリヌス療法は美容分野でも広く使われています。

ボツリヌス毒素による筋肉の弛緩は、筋肉の強張りを緩める効果も有り、この効果を上手く使うことで顔の皺を除去することができます。

このように、ボツリヌス毒素を活用したボツリヌス療法は、広く利用されており、沢山の人を救っています。

しかし、良いことばかりでは無くボツリヌス療法には問題もあります。





ボツリヌス療法の問題点

問題ボツリヌス療法は、ボツリヌス毒素の注射から約2日から3日で効果が徐々に現れ始めます。

その後、個人差も有りますが、約3ヶ月から4ヶ月程効果が持続し、その後、徐々に効果が薄れて、やがて消えてしまいます。

つまり、ボツリヌス療法の効果を持続させるためには、ボツリヌス毒素の注射を継続する必要がある、という問題があります。

しかし、美容分野以外でのボツリヌス療法は健康保険を適用できるので、それ程大きな問題にはならないと思います。

まとめ

ボツリヌス毒素を上手く利用した、ボツリヌス療法は広く利用されて、多くの人々を救っています。

そのため、ボツリヌス菌は悪者だとも言い切れないのです。