食中毒として知られているボツリヌス菌ですが、実は傷口から感染することもあります。

但し、傷口からボツリヌス菌が感染するのは、稀なことで、掘り起こされ土壌で深い傷を負うと感染する、と言われています。

普段の生活では、まずそのような場面に遭遇することはないので、気にすることもないのですが、被災地での土壌の片付けや、瓦礫の除去を行う際には注意が必要です。

この記事では、そんな被災地とボツリヌス菌について解説していきます。

傷口からボツリヌス菌に感染したらどうなるの?

症状掘り起こされた土壌で深い傷を負うと、傷口からボツリヌス菌に感染することがあります。

感染後、潜伏期間の約4日~21日経過後に発症し、徐々に症状が現れます。

症状はボツリヌス菌による食中毒と同じように、ボツリヌス毒素による筋肉の麻痺によって、まずは、末端部の筋肉の動きが阻害され、物が二重に見え始る、ろれつが回らなくなる、口が上手く動かせなくなる、四肢の動きが肩、手、足と段々と動かし難くなり移動が困難になる、といった症状が現れます。

そして、そのまま適切な治療が行われないと、ボツリヌス毒素が呼吸に関わる部分の筋肉にも周り呼吸が止まり死亡する場合もあります。

また、食中毒の症状とは違い、腹痛、下痢、嘔吐は起こりません。

ボツリヌス菌による感染は、初期症状の段階で、医療機関で適切な治療を行えば死亡率は劇的に低下するので、症状が現れたら、すぐに医療機関に助けを求めるのが良いでしょう。

被災地でボツリヌス菌などの菌から身を守る方法

被災地被災地で傷口からボツリヌス菌などの菌による感染症を防ぐには、土壌の片付けや、瓦礫の除去の際にはしっかりとした長靴、手袋を用意し、傷を負わないように素肌を見せない服装で作業を行うのが良いでしょう。

また、長靴の中に泥水や汚水が入ってきた場合に、足に傷を負っていると、その傷口から感染することもありますので、注意が必要です。





まとめ

被災地という非日常の中では、様々なことが起こります。

「大変な日々だから、体調が悪いのかな?」

「みんな大変だから、これくらい我慢しよう」

と、思い自分のことを後回しにして、症状を重くしてしまうケースもあります。

その気持ちは分かるのですが、症状が重くなると、返って大変な事態になってしまうこともあるので、もし、普段と違う体調の変化が起こったら、早めに現地の医療者に見てもらうのが良いでしょう。