自然界で1番強い神経毒を生み出すボツリヌス菌による感染は、世界中で発生しています。

特に国外の事例では、日本とは事情が異なる食品供給ルートや気候、社会習慣に起因した感染も起こっており、日本の事例だけでは学べない教訓を教えてくれます。

この記事では、そんな普段目にすることが難しい、海外でのボツリヌス菌による感染事例を紹介していきます。

2006年
タイでのタケノコの缶詰によるボツリヌス菌の感染事例

たけのこ2006年3月のタイでボツリヌス菌による集団感染が起こりました。

集団感染が起こった現場は、毎年行われる宗教行事の食事会場で、その行事に参加した村人354人の内151人がボツリヌス菌による食中毒を起こしました。

始めは食中毒の原因が分かりませんでしたが、調査により「自家製のタケノコの缶詰を幾つか開封した時に、その中の1つの中身が混濁していたが、他の缶詰に問題が無かったのでそのまま使用した」という証言と、食中毒の症状から、そのタケノコの缶詰にボツリヌス菌が混入していたのではないか?と推測され治療が行われました。

後に、混濁していた缶詰を発見、そして、中からボツリヌス菌が発見され、ボツリヌス菌による集団感染だと認定されました。

2009年
フランスでの白身魚の燻製によるボツリヌス菌の感染事例

2009年フランスで、ボツリヌス菌による食中毒が発生しました。

この事例では、冷蔵の食品を長時間車で輸送することのリスクを我々に教えてくれています。

この食中毒はフランスで起こっていますが、食中毒の原因となった食品はフィンランドで購入されています。

クーラーブックス家族はフィンランドで冷蔵保存用の燻製された白身魚を購入、そして白身魚をクーラーボックスに入れて、14時間掛けて自宅に車で移動、その後、自宅の冷蔵庫で保管し、火を入れることなく、購入2日後に食べています。

調査により、この事例では、何らかの理由で白身魚にボツリヌス菌が付着していて、そのボツリヌス菌が冷蔵時間を上回る温度での保管が長時間続いたことで、ボツリヌス毒素を発生させながら増殖したことが、食中毒の原因だと推測されています。

定められた保存方法以外の方法で、食品を長時間輸送する際には、念のために食べる前に食品を加熱するのが良いでしょう。





まとめ

海外では、日本の常識とはまた違う現地の常識で物事が動いています。

現地で大丈夫!と、言われてもそのまま信じずに、知識を元に自分で判断することが、身を守るために必要だと思います。