ボツリヌス菌は、自然界でもっとも強い神経毒を産みだす、恐ろしい細菌です。

日本でも、過去に何度もボツリヌス菌による食中毒が発生しています。

そして、そんなボツリヌス菌は私たちの周りの土の中に沢山生息しています。

そのため、日本のどこでもボツリヌス菌による食中毒が起こってもおかしくはないのです。
この記事では、そんな身近な恐ろしいボツリヌス菌について解説していきます。





ボツリヌス菌の特性

ボツリヌス菌は、その毒性によってA~Gの7種類に分けられます。

そして、人体に対して有害な毒性を持つのはABEF型です。その中でも、私たちの身近にいるボツリヌス菌は、土の中や、泥の中に生息しているAB型です。

ボツリヌス菌は土の中や泥の中に生息している時には、芽胞と呼ばれる状態でいます。

休眠この芽胞の状態は、ボツリヌス菌にとっては休眠状態であり、活動することはできませんが、長い期間を耐え抜くことができます。

そして、ボツリヌス菌は発育に適した環境になると、芽胞から芽を出し活動を開始するのです。

ここまで読んで「そんな、危険な細菌が近くにいて危なくないの?」と、思うかもしれませんが、実はボツリヌス菌は空気に弱い嫌気性細菌です。

そのため、空気に触れている間は活動しません。

つまり、ボツリヌス菌が発育するのは、空気に触れていない密閉された空間、ボツリヌス菌が生きるために必要な水分栄養素がある、という3つの条件が合わさった場合に限定されます。

この3つの条件が合致した時に、ボツリヌス菌は、自然界でもっとも強いと言われているボツリヌス毒素を産み出しながら発育するのです。

ボツリヌス毒素とは?

化学兵器ボツリヌス菌は、発育する過程で神経毒であるボツリヌス毒素を産み出します。

インフルエンザa型もインフルエンザの中では最強の分類ですが、自然細菌としてはボツリヌス菌が最強でしょうか。
ボツリヌス毒素の毒性は強力で、自然界では1番強いと言われており、過去には、そのあまりの強さから化学兵器として利用されていたこともありました。

ボツリヌス毒素に食べると、神経系統に作用し筋肉を弛緩させ最悪の場合呼吸ができなくなって死亡する場合もあります。

ボツリヌス毒素は、恐ろしい毒素ですが、実は加熱することで無害化させることができるので、何らかの理由でボツリヌス菌が含まれることが疑われる食品を食べる際には加熱するのが良いでしょう。ボツリヌス菌の特性を理解していれば、ボツリヌス菌による食中毒を防ぐことができます。

 

「食中毒は体内から細菌が排出されてしまえば、自然と良くなるから病院へは行かずに、自宅で療養して治してしまうよ。」と、いう方は少なからずいると思います。

確かに多くの食中毒では、体内の細菌を体が全力で体外に排出するので、時間の経過によって自然と体調が良くなっていきます。

しかし、この方法をボツリヌス菌による食中毒で行うと、最悪の場合には死亡するケースもあります。

この記事では、そんなボツリヌス菌による食中毒を自宅療養することの危険性について解説していきます。

ボツリヌス菌による食中毒を自宅療養することの危険性とは?

自宅で療養ボツリヌス菌による食中毒と、よくある食中毒の最大の違いは、ボツリヌス菌による食中毒を放置すると、良くなるどころか最悪の場合には、呼吸が停止して死亡していまう可能性がある、ということです。

それは、ボツリヌス菌による食中毒の原因となる、ボツリヌス毒素が人体の筋肉を徐々に麻痺させていく特異な性質を持っているからです。

そのため、ボツリヌス菌による食中毒の症状には、下痢、嘔吐、腹痛と合わせて、物が二重に見え始る、ろれつが回らなくなる、口が上手く動かせなくなる、四肢の動きが肩、手、足と段々と動かし難くなり移動が困難になる、といった症状が現れます。

そして、更に時間が経過すると、体の深部にある呼吸関連の筋肉にも麻痺が広がり、呼吸が止まってしまうこともあるのです。

これらのことから、自宅でボツリヌス菌による食中毒を治療するのは辞めた方が良いと思います。

ボツリヌス菌による食中毒になってしまったら、どうしたら良いの?

救急車ボツリヌス菌による食中毒になってしまったら、医療機関に助けを求めるのが良いでしょう。

初期症状の下痢、嘔吐、腹痛と併せて、物が二重に見え始る、ろれつが回らなくなる、口が上手く動かせなくなるといった症状が現れたら、早々に連絡するべきだと思います。

そして、出来るだけ自分で医療機関に行くのは避けて、助けを待った方が良いでしょう。

それは何故かというと、ボツリヌス菌による食中毒の症状が進むと、筋肉に麻痺が広がり手足を動かすことが困難になるので、最悪の場合、医療機関に到着することができなくなるからです。

ボツリヌス菌による食中毒は、適切な治療が行われないと死亡する可能性があるので、自宅で療養して治そうとするのは避けた方が良いでしょう。
そして、初期症状が現れたら、速やかに医療機関に助けを求めることが大切です。

この時

「もしかしたら、違うかも」

「もう少し様子を見よう」

と、思っていると、手遅れになることもあるので、普段と明らかに違う症状を感じたら、迷わず医療機関に助けを求めるべきだと思います。